2000年08月17日
東レ、PPS事業の販売体制見直し/川下展開などで事業強化
輸出拡大にも本腰~将来は30%前後へ
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:東レ

 東レは、コア事業の一つに位置付けているPPS(ポリフェニレンサルファイド)について、今後は販売体制の見直しや川下展開の強化、架橋型の性能アップによる拡販、輸出拡大などにより、さらなる事業の強化を進めていく考えだ。
 同社は現在、東海工場にリニア型2系列計年産2,900トン、架橋型1系列同2,800トン設備を有し、合計5,700トンのPPSベースレジン生産体制を構築している。リニア型ベースレジンの一部は、以前から提携関係にある以前から提携関係にあるフィリップス石油(現シェブロン・フィリップス・ケミカル・カンパニー、CPC)にも供給している。
 これまで同社は、自動車用途についてはエンジニアリングプラスチック事業第1部で、電気・電子用途については同第2部で扱う、用途別の販売体制をとっていたが、汎用エンプラとスーパーエンプラでは売り方が異なると判断、エンジニアリングプラスチック事業開発部を設置し、PPSの販売業務を移管した。特に電気・電子分野については、ピックアップ向けなどを大きなテーマに事業展開を強化していく考え。
 また川下分野の展開では、同社が世界で初めて工業化に成功したPPSフィルムが、現在携帯電話向けのチップコンデンサー用途で急速に伸びており、好調に推移しているほか、PPS繊維は、バグ(集塵)フィルター向けや、抄紙用キャンバス向けで、今後内需の拡大を期待している。このように自消用途を有していることも、同社の事業強化に貢献しているという。
 一方、輸出については、現CPCとの契約によりPPSの販売を日本市場に限定されていたが、1998年春に一部契約内容を変更、輸出することができるようになった。その後市場調査を進めつつ、日系ユーザー中心、CPCとの競合を避けることなどを基本方針に輸出を行ってきたが、「これまではフィリップスに遠慮している所があった」ため、それほど積極的ではなかった。しかし最近は、ユーザーの海外移転にともなって競合メーカーの輸出も増えてきているのが現状であり、今年からはローカルユーザーの開拓を進めるほか、今後一部ではCPCとバッティングする可能性もあるとしており、本格的に輸出の拡大に取り組んでおり、最終的には輸出比率を全体の30%程度まで拡大していきたい方針。
 このほか同社は、PPSの長年の課題である、低バリ化、高フィラー化などの研究にも取り組んでいるが、特に架橋型の性能アップを目指しており、実現すればさらなる拡販が期待できるという。現在、リニア型設備はフル稼働、架橋型設備は若干余裕があるものの、これらの事業強化策により、近い将来は、架橋型の増設にも取り組んでいきたいとしている。