2000年08月17日 |
東レ、LCP高耐熱グレードL304シリーズを本格販売 |
鉛フリーハンダ対応/耐熱性を275度に向上 |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:東レ |
東レは、LCP(液晶ポリマー)「シベラス」において、従来のL204シリーズに比べ耐熱性を25度向上させた鉛フリーハンダ対応の高耐熱L304シリーズの本格販売を開始した。 LCPの内需は、パソコンや携帯電話をはじめとしたIT関連需要の成長にともない、年率40%近い成長が見込まれている。こうしたなか同社のシベラスは、(1)優れた薄肉流動性、(2)耐熱性と成形性のバランスの良さ、(3)高いコスト競争力などの特長を活かし、コネクターをはじめとしたSMT(表面実装技術)対応の電子部品用途を中心に拡販を進めてきた。 一方、電気・電子分野では、環境問題の一環として、電気・電子機器を廃棄する際に漏出する鉛が土壌を汚染する可能性が指摘されている。このため鉛を含有しない、いわゆる鉛フリーハンダの開発が進んでいる。鉛フリーハンダは、環境に優しい反面、コストがかかること、ハンダ融点が上がり、電子部品を基板にハンダ付けする際にリフロー温度が10~25度高くなる、などの問題があるため、SMT対応部品に用いる樹脂も、これまで以上に高い耐熱性が求められるようになっている。 L304シリーズは、東レ独自のポリマー分子設計技術により、シベラスの特長を維持しつつ、荷重たわみ温度では従来のL204シリーズの250度に対し、275度を実現した。逆にL204に比べアイゾット強度は向上しているという。LCPの分類上、L204シリーズはII型レベルであるが、L304はI型とII型の境界領域に位置することになる。さらにコンパウンド処方も改良しており、従来品に比べ成形時や高温で成形品が使用される際のガス発生量も低減している。 東レは、一部の顧客に対してはすでにL304シリーズサンプル出荷していたが、鉛フリーハンダ対応電子部品の実用性評価上問題がないことが確認されたことを受け、このほど愛媛工場の年産1,000トン設備において量産を開始したもので、今後低ガス性の求められるリレー用途などへの拡販も進めて行く方針。また、同社では来年にも既存設備がフル生産・フル販売になると見ており、50%程度の増強を検討していく考えだ。 |