2017年03月28日
首都大東京、高機能導電性ポリマー 精密合成法開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は28日、JST戦略的創造研究推進事業で首都大学東京大学院の野村琴平教授らが、優れた光機能を発現するπ(パイ)共役ポリマーの精密な合成法の開発に成功したと発表した。
π共役ポリマーの物性制御には、末端に特定の官能基を導入することが重要だが、従来の手法では2つの末端にそれぞれ異なる官能基を導入できなかった。今回、π共役ポリマーの各末端に目的の官能基を効率よく導入できる精密合成法を開発したものである。
首都大学東京大学院の野村教授らは、これまでにルテニウム触媒を用いたオレフィンメタセシス重合法を開発し、構造欠陥や不純物の混在といった従来法での問題を解決してきた。今回開発したモリブデン触媒を用いた手法では、ルテニウム触媒を用いた場合の従来の優位性はそのままに、ポリマーの2つの末端に異なる官能基をほぼ100%の確率で導入することに成功した。また、同手法により、反応性の高いポリマー末端を片方に残した状態で、もう一方に目的の官能基を効率よく導入することにも成功した。
この手法を用いることで、ポリマーの特性と末端官能基との関係をより詳細に解明および制御できるだけでなく、他の材料と接合、固定化や集積化することによって、より緻密な材料設計が可能になる。有機EL素子や太陽電池など有機エレクトロニクスの発展に貢献する光機能材料の開発に向けた有用な基礎技術となることが期待される。
同成果は、近くドイツ化学会誌「Angewandte Chemi International Edition」電子版で公開される。