2017年04月06日 |
「リチウムイオン電池の15倍容量]空気電池開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:科学技術振興機構、物質・材料研究機構 |
物質・材料研究機構(NIMS)の久保佳美チームリーダーを中心とした研究チームは5日、リチウム空気電池の空気極材料にカーボンナノチューブ(CNT)を採用することにより、従来のリチウムイオン電池の15倍に相当する極めて高い蓄電容量を実現したと発表した。 現状のリチウムイオン電池は小型で高電圧、長寿命といった特性を有するが蓄電容量に対するエネルギー密度はほぼ限界に達していた。この壁を破るのが「リチウム空気電池」で、正極活物質として空気中の酸素、負極にリチウム金属を用いることでエネルギー密度がLIBの5-10倍という「究極の二次電池」といわれてきた。実現できれば蓄電容量の劇的な向上と大幅なコストダウンが期待できる。ただ、これまでは基礎研究が中心で、実際のセルで巨大容量を実証した例はなかった。 今回、研究チームは現実的なセル形状で単位当たり蓄電容量として30mAh/㎝2という高い値を実現した。これは従来のリチウムイオン電池(2mAh/㎝2程度)の約15倍に相当する。空気極材料にカーボンナノチューブを用い、微細な構造を最適化して得られた。カーボンナノチューブの大きな表面積と柔軟な構造が寄与した。今後は実用的なレベルで高容量リチウム空気電池システムの開発をめざす。空気から不純物を取り除くなどの研究にも取り組む。 同研究はJSTの「次世代蓄電池プロジェクト」及び文科省の「ナノテク開発プログラム」の支援で行われた。 同成果は英国の科学誌「Scientific Reports」に5日掲載される。 |