2000年08月15日
PPSベースレジン、世界の供給能力は3万5,000トン規模に
IT関連用途の需要拡大/今後は次世代プロセス事業化が焦点
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:クレハ

 世界のPPS(ポリフェニレンサルファイド)は、IT関連用途の成長を中心に毎年2桁の成長が続いており、これにともなってベースレジンの供給能力は年内にも3万5,000トンを超える見通しだ。さらに今後は、競争力の優れた次世代プロセスの事業化が焦点となっている。
 PPSは、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、難燃性などに優れた樹脂で、電気電子と自動車が主力用途。特に電気電子は、IT関連需要の拡大にともなってコネクタやコイルボビン向けなどを中心に、ここ数年高成長が続いており、ベースレジン全体の需要は毎年10%台後半の伸びを示している。
 世界のPPSベースレジン設備計画はhttp://www.c-nt.co.jp/cgi-bin/passFile.cgi?FILE=data/pj/pjpps>表記の通りで、今年10月には呉羽化学工業が錦工場で900トン増強するほか、年末までに呉羽化学とティコナの合弁会社であるフォートロン・インダストリーズが1,800トン増強、呉羽化学グループとして2拠点で1万2,600トン体制を構築する。ティコナは、さらに30%の増強を目指し、ワークを開始するなど、事業拡大に意欲的だ。
 現在、PPSベースレジンメーカーは、日本および米国に集中している。これは、他の地域では純度100%のパラジクロルベンゼンの調達が困難であることが大きな要因と見られ、たとえ人件費や土地代などのコストが高くとも、日本や米国でなければ事業化が難しいと言われている。
 こうしたことから各社は、よりコスト競争力に優れた次世代プロセスの開発を進めている。今後のPPSベースレジン設備は、リニア型で年産5,000~1万トン規模が主流になると見られているが、年産5,000トンで100億円近い投資が必要とされていることもあって、日本では数社による共同投資の可能性も検討されている。
 なかでも出光石油化学は、現在はパイロットプラントで生産しているが、次世代技術の研究開発が最終段階を迎えており、2001~2002年には数社との共同により、新設備を建設したい考え。このように本格参入を予定しているメーカーもあり、競争は今後さらに激化していく見通しだ。

<参考>※http://www.c-nt.co.jp/cgi-bin/passFile.cgi?FILE=data/pj/pjpps>世界のポリフェニレンサルファイド設備計画