2000年08月10日
トクヤマ、セメント事業における再資源化への取り組みを拡大
16日に資源環境事業グループ発足/環境事業を本格化
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:トクヤマ、塩ビ工業・環境協会、プラスチック処理促進協会

 トクヤマは10日、セメント製造部における資源リサイクルの実績を踏まえ、環境経営とオープンインテグレーションの複合的な展開を目指し、全社的な環境事業の推進母体として16日付で「資源環境事業グループ」を発足させる、と発表した。
 同社は、「環境経営」の推進を中期経営計画の重要な柱として位置づけ、昨年10月経営企画室に新設した「環境経営グループ」を中心に戦略的な取り組みを進めてきた。
 その一方で、徳山製造所に保有する強力な自家発電所を中心としたユーティリティ、多様な中間原料や製品のネットワーク、また80年以上にわたって蓄積した無機・有機の技術、セメント事業を活用した副生物や廃棄物の処理能力などのインテグレーションをさらに社会システムとの関わりの中で発展させたオープンインテグレーションを順次具体化しつつある。
 さらに、徳山製造所(山口県徳山市)において、セメント工場のキルンを活用して社外から石炭灰、汚泥、廃タイヤ、廃プラスチックなどを受け入れて産業廃棄物のリサイクルを推進しており、社外からの受入れは1999年度実績で154万トンに達している。特に廃プラスチックリサイクル分野では硬質・軟質の廃プラを破砕して直接燃料として使用する技術を、国内のセメントメーカーとして初めて確立した。昨年8月からこの技術をベースに年間能力1万5000トンのリサイクル工場が稼動しているが、すでにフル稼動の状態にあることから、来年夏には3万トンのリサイクル工場を増設、最終的に設備能力を15万トンにまで増強する計画。
 廃プラリサイクルでは、廃塩化ビニル樹脂のリサイクル技術に関しても塩ビ工業・環境協会、塩化ビニル環境対策協議会、社団法人プラスチック処理促進協会と共同で実証試験を行なってきており、すでに技術的な目途をつけている。また一般廃棄物の分野でも、山口県を中心に進められている山口ゼロエミッション推進事業の一環として、都市ごみ焼却灰及び一般系廃プラスチックをセメントの原燃料にリサイクルする技術の開発、および実証試験を行なってきた。都市ごみ焼却灰のリサイクルは山口県内自治体のごみ焼却後に排出される焼却灰を普通セメントの原料としてリサイクルしようとするもので、事業化を検討する段階に入っている。
 このような背景のもと同社は、多くのテーマが事業化の段階に入ってきたことから、従来のリサイクル活動を「環境事業」として集約、全社的な環境事業の推進母体として「資源環境事業グループ」を発足させることにしたもの。なお同組織は、東京、大阪、徳山を拠点とし、当面30人体制でスタートする考え。