2017年06月28日
理研、植物の乾燥耐性強化に「酢酸」が有効
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は27日、植物ゲノム発現研究チームの関原明リーダーらが、酢酸を与えることで植物が乾燥に強くなるメカニズムを発見したと発表した。同研究は東京大学大学院の藤泰子助教、農業・食品総研の土生芳樹ユニット長、東京理科大・松永幸大教授らと共同で行われた。JST戦略的創造研究推進事業の一環。従来、主流の遺伝子組換え技術に頼らずに植物の乾燥耐性を強化することができる技術の開発につながるとして注目される。

研究グループは、乾燥ストレス応答時の植物体内の代謝変化を調べ、乾燥に応答して酢酸が積極的に作り出されていることを発見した。この酢酸合成開始には植物のエピジェネティック因子が活性化のスイッチとして働いていることも明らかにした。さらに、酢酸を与えることで、さまざまな植物で乾燥耐性が強化されることや、それが傷害応答に関わる植物ホルモンであるジャスモン酸の合成とシグナル伝達を介していることを明らかにした。

遺伝子組換え植物に頼らず、植物に酢酸を与えるだけで、急速な乾燥や干ばつに対処できる簡便・安価な農業的手法として役立つことが期待される。

同研究成果は6月26日16時(英国時間)に英国科学誌「NaturePlants」オンライン版で公開された。