2017年08月18日
理研・利根川進氏ら「記憶を思い出す」神経回路発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は18日、脳科学総合研究センター・理研-MIT神経回路遺伝学の利根川進センター長らの共同研究チームが、マウス脳の海馬支脚を経由する神経回路が記憶の想起に重要な役割を果たすことを発見したと発表した。

共同研究チームはこれまでの一連の研究から、人々の記憶が「エングラム細胞」と呼ばれる海馬の細胞群に書き込まれ、蓄積されることを実証してきた。海馬はいくつかの領域に分かれ、互いにつながって局所回路を形成しているが、経路には直接経路と間接経路があり、それぞれの経路が果たす役割はよく分かっていなかった。

共同研究チームは今回、背側海馬支脚の細胞を光遺伝学によって特異的に制御できる遺伝子改変マウスを作製し、背側海馬支脚の細胞が記憶の書き込みや想起にどのような役割を果たしているのかを調べた。
これらの研究により今回、これまで謎だった海馬支脚の働きを明らかにした。またこれらの成果は、海馬の2つの局所回路が、記憶の書き込みと想起という異なる役割を分担していることを示すもので、さらに研究をすすめれば、さまざまな記憶障害の原因解明の糸口となることが期待できる。

同研究成果は、米国の科学雑誌「Cell」8月24日号掲載に先立ち、オンライン版(8月17日付)に掲載された。