2017年09月08日
理研、体内時計の仕組みを原子レベルで解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は8日、生命システム研究センターの上田康己グループディレクターらの研究グループが、哺乳類の概日時計(体内時計)の周期長を決定しているリン酸化酵素の「基質との結合」および「生成物との結合」の2つの結合の強弱が温度によって変化し、高温でのリン酸化反応速度の上昇にブレーキをかけることが概日時計の温度補償性に重要であることを解明したと発表した。

地球上の多くの生物種には1日約24時間周期の概日リズムが備わっているが、温度補償性の詳しい分子構造は分かっておらず大きな謎とされてきた。今回研究グループは生化学実験と実験データに基づいた数理モデルによりこれまでの謎を解明した。

今後、高温で基質結合の親和性の低下や、高温で生成物結合の親和性の実績を酵素で再現できれば、高温で安定な酵素の設計やリン酸化活性が制御できる。“時差ボケ”などの概日リズム睡眠障害の治療法開発につながると期待される。

同研究成果は米国の科学雑誌「Molecular Cell」9月7日号に掲載された。