2017年10月19日 |
理研と東大、磁気モーメントの超高精度化に成功 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:理化学研究所、東京大学 |
理化学研究所Ulmer基本的対称性研究室のS・ウルマー主任研究員、東京大学大学院総合文化研究所の松田恭幸教授らの国際共同研究グループは19日、68%の信頼水準で相対的な不確かさ(相対精度)が10億分の1.5(1.5ppb)という超高精度で、反陽子の磁気モーメントを直接測定することに成功したと発表した。これまでの精度を350倍上回る成果となる。 今回、国際共同研究グループはCPTの対称性を厳密に検証するために、反陽子の磁気モーメントを超高精度で決定し、すでに150倍以上の精度で知られている陽子の磁気モーメントと比較した。実験では、荷電粒子の基礎物理量を高精度で測定できるペニングトラップを用いた。別々に閉じ込められた2個の反陽子を独立に分光するという新開発の実験手法を用いて磁気モーメントを測定した結果、相対精度68%の信頼水準で1.5ppbを得た。 これは 共同研究グループが17年1月に達成した当時の最高精度(1000万分の8、0.8ppm)をさらに350倍上回り、現時点では世界最高記録。今後は、反陽子の磁気モーメントを将来的にさらに高い精度で測定する計画を進める。陽子と反陽子を用いてCPT対称性の検証をさらに深めることで、現在の宇宙における物質ー反物質非対称性の謎により近づくことができると期待できる。 同研究成果は、英国の科学雑誌「Nature」10月19日付に掲載される。 |