2017年12月25日
理研、ぜんそくの新しい遺伝子領域を発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所 医科学数理研究グループの角田達彦ディレクター(東京医歯大教授)らの共同研究チームは23日、新しいぜんそく関連遺伝子と、ぜんそくと自己免疫疾患や炎症性疾患との関係、感染などへの免疫応答の関与などの手がかりを発見したと発表した。「国際共同研究トランスナショナルぜんそく遺伝学コンソーシャム(TAGC)」に参画し、大規模ゲノムワイド関連解析(GWAS)を行ってつかんだ。

ぜんそくの罹患率は日本人が5~8%、米国ではメキシコ系3.5%からアフリカ系12.5%までさまざまで、環境の違いに左右されやすい。遺伝子要因のぜんそくリスクへの寄与率が高いと見られているが、これまでの研究でぜんそくとの関連が認められた遺伝子座はわずか21だった。

角田教授らの研究チームはTAGCの一員として、さまざまな集団を代表する142,000人以上のデータを解析することで人種の違いや環境の違いに左右されにくい、ぜんそくのリスクとなる18遺伝子座と878の一塩基多型(SNP)の包括的なカタログを構築した。ぜんそくのリスクとなる5遺伝子座を新たに発見した。既知のものとは異なる新しいぜんそく関連SNPも発見した。今後、新しいメカニズムの解明や分子ターゲットの発見によってぜんそくに効果的な薬の創薬につながると期待できる。
同研究成果は、国際科学誌「Nature Genetics」オンライン版(12月22日付)に掲載された。