2018年01月04日 | |
【年頭所感】 経済産業省製造産業局長 多田明弘 | |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:経済産業省 |
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年頭に寄せて 我が国経済は、5年間のアベノミクスでの様々な改革や金融・財政政策によって、名目GDPが安倍内閣の発足以降50兆円を超える増加、就業者数が4年連続の増加、正社員の有効求人倍率が1倍を超えるなど、経済の好循環が、着実に実現しつつありますが、中小企業・小規模事業者における景気の実感は、未だ十分ではないと認識をしております。経済成長の果実を中小企業・小規模事業者も含め、全国津々浦々に広げるため、製造産業局長の立場から、本年も、引き続き、全力で取り組んでまいります。同時に、安倍内閣では、「生産性革命」を政策の柱の一つに位置づけており、製造業における「生産性革命」の実現に向けて貢献していく所存です。 その実現に向けた鍵の一つが、「Connected Industries」です。これは、様々な業種、企業、人、機械等が繋がることにより、新たな価値創出や生産性向上を図り、顧客や社会課題の解決を目指す、産業の未来像です。昨年10月、世耕大臣が公表した、「東京イニシアティブ」に掲げられた、「ものづくり・ロボティクス」、「自動走行・モビリティサービス」、「バイオ・素材」等の重点分野における取組を、「協調」をキーワードに、「Connected Industries」のコンセプトが具体的なアクションとして広がっていくよう、政府としてもその環境の整備に力を注いでまいります。 さらに、「Connected Industries」の取組を進める上で、サプライチェーンで繋がる中小企業の参画も重要です。一部の大企業だけが熱心に取り組んでも、サプライチェーン上の「繋がる」仕組みが力を発揮することはありません。日本経済を支える中小企業が「Connected Industries」 の動きに遅れることなく参画していけるよう、伴走型の支援に取り組んでまいります。こうした取組 に加え、中小企業の取引条件を改善し、サプライチェーン全体で付加価値を生み出す取組も不可欠です。昨年は主要産業界において業種別自主行動計画や未来志向型・型管理アクションプランが策定され、着実に取組が進んでまいりましたが、政府としても引き続き自主行動計画の策定業種の拡大や未来志向型・型管理に向けたアクションプランの一層の浸透など、中小企業の取引条件改善に向けた取り組みを粘り強く行ってまいります。 また、グローバルな「繋がり」も重要です。昨年は、日EU・EPAの交渉妥結やTPP11の大筋合意など、自由貿易経済の旗手として日本が大きな存在感を示した1年でした。本年も、グローバルに活躍する我が国企業を後押しすべく、日EU・EPAやTPP11の早期署名・発効に加え、質の高いRCEPの実現など、高い水準の経済連携協定の実現に努めてまいります。 最後に、この機会に、我が国製造業への期待を述べさせていただきたいと思います。キーワードは、「スピードあるアクション」、「個性ある経営」、「大胆な挑戦」にあると考えています。IoTやAI等の急速な技術革新の進展を始め、製造業を巡る環境が我々の予想を超えるスピードで変化する中で、前例にとらわれない果断な経営判断を、柔軟にスピード感をもって進めていくことで、世界をリードしていくことが必要であります。一方で、「勝ち筋」は、決して一本の道ではないと考えております。それぞれの企業が創意工夫のもとでその個性を存分に発揮することが求められているのではないかと思います。世界の製造業においても、この先が読めない時代に試行錯誤を重ねて、「勝ち筋」を模索しております。我が国の製造業においても、今一度「挑戦者」の意識に立ち戻っていただき、新たな発展の道を切り拓いていただきたいと思います。私自身、製造産業局長として、企業の皆様の積極果敢な取組を精一杯後押ししていきたいと思います。 末筆ながら、本年の皆様の御健康と御多幸を、そして我が国製造業の着実な発展を祈念いたしまして、新年の御挨拶とさせていただきます。 平成30年元旦 |