2018年01月04日
【年頭所感】日本化学工業協会会長 石飛 修
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:経済産業省
石飛日化協会長 

国内の景気は、堅調な海外需要に支えられ、引き続き緩やかな拡大を続けており、化学業界においても、汎用品を中心とした市況の上昇や高機能品の需要増加などを背景に、好況のうちに推移している。一方で、事業環境の先行きには不透明感もあり、また、グローバル競争は激しさを増しているが、日本の化学業界の強みを生かしイノベーションをグローバルに展開し、積極的に挑戦し続けることで、持続的な成長につなげていけるものと確信している。当協会は化学業界の発展に寄与するために、取り巻く環境の変化やさまざまなニーズを考慮しながら、本年も重点テーマに取り組んでいく。

安全の確保は化学産業の最重要課題という基本方針のもと、安全の管理者および専門家を養成する従来の「産業安全塾」に加え、第一線監督者向けの研修「生産現場リーダー研修」など、内容の充実を図り継続して開催していく。また、類似事故の再発防止のためには、事故および労働災害に関する各社との情報共有が欠かせない。特に重大なケースについては、原因と対策を検証し周知するなど、安全対策の確立と安全文化の醸成に向けた支援を進める。

本年、改正化審法の施行が予定されている。当協会としては、行政と協力するとともに業界内で緊密な連携を図り、取り扱いが変更される措置の円滑な移行に向けて取り組んで行きたい。さらに、欧米や東アジアにおける化学品管理規制の動向をしっかりと把握し、各社へ情報提供を行っていく。
温暖化対策については、企業活動における温室効果ガス削減などについてまとめた「低炭素社会実行計画」を引き続き着実に推進するとともに、進捗状況をふまえ、2030年度の業界目標の見直しに着手する。また、昨年策定した

「地球温暖化問題への解決策を提供する化学産業としてのあるべき姿」の実現に向け、関連団体とも連携しながら、重点項目や進め方などについて検討を行うなど、長期的な取り組みも前進させていく。 
将来を担う化学人材の育成は業界共通の課題である。企業人を派遣し、化学産業の歴史や社会への貢献、研究開発の方向性などについて学生に講義を行う「化学産業論講座」を、大学としっかり連携しながら一層拡充していきたい。

以上