2018年03月09日 |
京大、アンモニア水とアルコールから第一級アミン |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:京都大学 |
京都大学の藤田健一 人間・環境学研究科教授らの研究グループは8日、アンモニア水とアルコールを原料として用い、新しく開発したイリジウム錯体を触媒として用いることで、合成化学的価値の高い第一級アミンを効率的に合成できる触媒系の開発に成功したと発表した。 第一級アミンは、医薬、農薬、機能性材料、樹脂合成などの中間原料として広く用いられている。取り扱いにくい原料を使わず、有害な副生成物を出さない第一級アミン合成の手法の開発の価値は大きい。とくにアンモニア水とアルコールの反応によって第一級アミンを触媒的に合成できれば、副生するのは無害の水のみとなり、環境調和の点からも望ましいことになる。 研究グループは、アンモニア水とアルコールを原料として用い、新しく開発したイリジウム錯体を触媒として用いることによって、これらのの課題を解決する新しい触媒系の開発に成功した。開発したイリジウム触媒は、立体的に嵩高く、高い電子供与性を持った含窒素複素環カルベン(NHC)という配位子を持っている。そして、この新しいイリジウム触媒は、イオン性であるため水に溶けやすく、空気中で安定しているという特徴もある。 このイリジウム触媒を用いることによって、アンモニア水とアルコールの反応が良好に進行するようになり、最高収率89%で第一級アミンを合成することが可能になった。環境に優しいものづくりのさらなる発展につながることが期待される。 同研究成果は、3月5日付「ChemCatChem」にオンライン掲載された。 |