2018年03月09日 |
理研と農研機構、干からびても死なない昆虫の秘密解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所と農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)などの国際共同研究グループは、ネムリユスリカという干からびても死なない昆虫の秘密の一端を解明したと発表した。 ネムリユスリカはアフリカ中部の半乾燥地帯に生息。「乾燥無代謝休眠」と呼ばれる珍しい能力を持つ昆虫で、体内の水分がほとんどなくなり、干からびた状態でも死なない。これまで、この乾燥耐性機構を理解するために関連因子の同定やゲノム構造の解読が進められてきた。しかし、乾燥耐性機構を制御する遺伝子発現ネットワークについてはほとんど分かっていなかった。 今回、研究グループはネムリユスリカと、その近縁で乾燥耐性がないヤモンユスリカのゲノムの比較から、ネムリユスリカでは乾燥で発現が上昇する遺伝子の転写開始点の近傍に、ゲノム特異的なDNAモチーフが多く、かつ偏って存在することなどを見いだした。 今後、ネムリユスリカの乾燥無代謝休眠に関連した遺伝子群を任意の細胞で発現させることで、細胞や組織の常温乾燥保存法の開発が進むとみられる。また、新しい乾燥耐性因子の同定につながると期待できる。 同研究は米国科学雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA」掲載に先立ち、オンライン版で公開された。 |