2002年03月27日
DIC、昭和高分子、日立の3社、不飽和PEで生産提携
関東と中部・関西の両地区でお互いに生産を受委託
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:昭和高分子、大日本インキ化学工業、日立化成工業、公正取引委員会

 大日本インキ化学工業(DIC)、昭和高分子、日立化成工業の3社は、不飽和ポリエステル樹脂の生産面で業務提携することしたと27日発表した。発表には、奥村晃三・DIC社長、山村敏夫・昭和高分子社長、内ヶ崎功・日立化成工業社長の3氏が出席した。
 
 提携の内容は、3社間の生産の受委託によって、3社が関東と中部・関西の両地区に持つ各工場の生産効率をお互いに高め合うというもの。これによって、かねてからの3社共通の課題である生産コストの合理化と物流コストの削減を合わせて実現する考え。
 関東地区では、昭和高分子とDICが生産の一部を日立化成に委託していく。昭和高分子は、高崎と伊勢崎の両工場のうちの高崎工場(設備能力は年平均1万2,000トン)での生産を停止して伊勢崎(同8,000トン)に集約するかたわら、不足分の生産を日立化成の山崎事業所(日立工場と鹿島工場、合計同4万トン)に委託していく。一方のDICは、千葉工場(同1万5,000トン)内の合計4系列のうちの2系列を止めてそれによって生じる不足分を同じく日立化成に生産委託していく計画。
 また中部・関西地区では、日立化成が同地域向け出荷分の生産をDICの堺工場(同4万2,000トン)と昭和高分子の龍野工場(同4万4,000トン)に委託していくことにしている。
 これら3社の国内の年産総設備能力は、DIC6万6,000トン、昭和高分子6万4,000トン、日立化成4万トンの合計17万トン。国内の不飽和ポリエステル樹脂メーカー6社の総設備能力のおよそ53%を占める。今回の生産提携では、17万トンのうちのおよそ20%が対象となる見通し。
 これら3社では、4月上旬にも公正取引委員会の承認を得て、同月中には3社間の契約を締結したい考え。
 今回3社が業務提携に踏み切ることにしたのは、国内需要の低迷と安価な輸入品の急増によって需給ギャップが年々拡大し、採算の確保が困難となってきたため。こうした中でコストを極力削減していくには、単独で合理化策の展開していくよりも、競合関係が比較的希薄で利害が一致することの多い3社が生産面で提携して共同で同じ課題のクリアに取り組むのがベターと判断したもの。ただし、いまのところ販売提携は考えていないという。