2018年04月06日
理研・東大など、乾燥に強くなる植物ペプチド発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所、東京大学

理化学研究所は5日、東京大学、徳島大学などとの共同研究グループが、生物で組織間の情報伝達を担う神経を持たない植物は、体内で作り出した移動性のCLE25ペプチド(注)を使うことで根と葉の間で情報をやりとりし、乾燥ストレス耐性を高めていることを発見したと発表した。

植物に乾燥ストレスがかかったときに、根の細胞から道管にCLE25ペプチドが放出されることを発見した。さらにこのペプチドが道管を通って根から葉に移動し、ペプチドを受容する受容体に結合することを明らかにした。

干ばつは農産物の生長や収穫に大きな影響を与えるが、同研究の成果は、乾燥などの環境ストレスに強い作物の生産や機能性肥料の開発など、植物の成育環境への植物ペプチドの応用につながると期待される。
同研究の詳細は、国際科学雑誌「Nature」への掲載に先立ち、オンライン版(4月4日付)で公開された。


<用語の解説>
■CLE25ペプチドペプチドとは :植物体内で、数百アミノ酸からなる大きなタンパク質の一部が切り出されて数十アミノ酸程度の大きさになり、その後、水酸化などの修飾を受けたもの。ホルモンのような生理活性を持つ。今回の研究で発見したCLE25ペプチドは、12アミノ酸からなる植物ペプチドで、シロイヌナズナ中に存在するCLEペプチドファミリーの一つ。