2018年05月07日 |
理研、ゲノム編集でアルツハイマー病予防へ |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所は4日、脳神経科学研究センターの西道隆臣チームリーダーらのグループがゲノム編集技術を使った実験により、アルツハイマー病発症の原因となるアミロイドβーペプチド(Aβ)の蓄積を抑制する遺伝的な欠失を発見したと発表した。 同研究成果は、ヒト集団での新しい「保護的異変」同定の土台になるとともに、核酸医療などの予防的治療法の開発につながると期待できる。 今回、研究チームは、アルツハイマー病モデルマウスの作製過程で出てきたネガティブデータをヒントに、ゲノム編集技術を駆使して特定の遺伝子領域を700塩基及び400塩基欠損させた。脳切片を作製し、定量的に評価したところ、どちらの場合でもモデルマウスの特長であるAβの蓄積が欠失の程度に依存して低下していた。最終的にわずか34塩基の配列を欠失させただけでAβの蓄積が抑制されることが明らかとなった。 同研究の詳細は、英国のオンライン科学雑誌「Nature Communications」(日本時間5月4日)に掲載された。 <用語の解説> ■保護的変異 : ある疾患の発症リスクを軽減するような遺伝的変異。疾患発症の原因変異に比べると同定数は少ないものの多数の変異が見つかっている。例えばCCR5遺伝子の32塩基の欠失はエイズ発症の原因となるHIV感染に耐性をもたらすことが知られる。 |