2018年05月18日
産総研など、蛍光色素付き発光基質を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

産業技術総合研究所 環境微生物研究グループの 金誠培主任研究員と慶應義塾大学理工学部の鈴木孝治名誉教授らの研究グループは17日、蛍光色素付き発光基質類を開発し、生物発光の多色化を実現したと発表した。天然の生物発光基質(セレンテラジン、nCZT)にさまざまな蛍光色素を導入して、一連の蛍光色素付き発光基質をシステム的に開発した。

これらを産総研独自の人工生物発光酵素群(ALucR;産総研商標)やウミシイタケ生物発光酵素(RLuc)と反応させて、青色から赤色まで多彩な発光色を得た。この色の変化は、発光基質のエネルギーが蛍光色素に移動する現象(化学発光/生物発光共鳴エネルギー移動現象(CRET/BRET))によるものだ。

開発した発光基質の一部は、発光酵素と選択的に発光するので、複雑な化学物質が共存する系でも特定の発光酵素だけを発光させることができる。また、蛍光色素導入の合成中間体であるアジド基付き発光基質は、極めて高輝度の緑色発光を酵素選択的に放つことも見出した。これらの成果は、高感度診断試薬の開発、癌の早期診断、各種バイオアッセイ、生体イメージングなどに広く利用できると期待される。

この研究成果は、アメリカ化学会の学術誌Bioconjugate Chemistryに2018年5月16日版(米国東部夏時間)でオンライン掲載された。