2018年08月29日
理研など、「レム睡眠」に必須な遺伝子発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所 生命機能科学研究センターの上田泰己チームリーダー(東京大学大学院教授)らの国際共同研究グループは29日、レム睡眠(浅い眠り)に必須なニつの遺伝子を発見し、レム睡眠がほぼなくなっても生存するマウスの作製に初めて成功したと発表した。

同成果は、レム睡眠の誘導や睡眠覚醒における神経伝達物質(アセチルコリン)の役割りの解明や、睡眠障害の治療法の開発に貢献すると期待できる。

レム睡眠は、身体は寝ているのに脳は起きているという、覚醒とノンレム睡眠の中間の状態と考えられている。アセチルコリンはレム睡眠を誘導する分子として知られているが、本当にレム睡眠に不可欠なものかどうかはこれまで不明だった。今回、国際共同研究グループは、脳・神経系49部位のマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析、新しいマウス遺伝学ツール「tTR」の開発、トリプルCRISPR法などの個体レベルの遺伝学的手法を駆使することで、アセチルコリンの受容体遺伝子が睡眠量の制御に重要な働きをしていることを明らかにした。
特に、その両方の遺伝子を同時に欠失させたマウスでは、レム睡眠がほとんど検出されないことを発見した。

本研究は、米国のオンライン科学雑誌「Cell Reports」(日本時間8月29日)に掲載された。

本研究は、日本医療研究開発機構「革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)」、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金基盤研究およびクイーンズランド工科大学などの支援を受けて行われた。