2018年09月18日
理研、 高性能磁気記憶媒体 新スキルミオン発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は15日、強相関物性研究グループの十倉好紀グループディレクターらの国際共同研究グループが、三次元的に乱れた新しい「スキルミオン」状態の存在を発見したと発表した。この研究成果は、スキルミオンの新しい形態および安定条件が存在することを実証し、今後のスキルミオンの基礎研究および応用に貢献すると期待される。

スキルミオンとは、固体の電子スピンによって形成される数十~数百ナノメートルの大きさの渦状の磁気構造体で、基礎研究としてだけでなく、高性能の磁気記憶媒体として応用する観点からも注目を集めている。スキルミオンはこれまでに、キラルな結晶構造をもつ磁性体において、磁気転移温度直下の狭い温度範囲でのみ、二次元的に三角格子を組んだ結晶状態として観測されてきた。

今回、国際共同研究グループは、キラルな結晶構造を持つと同時に「磁気フラストレーション」(磁気が一つに定まらない状態)が内在する磁性体「Co7 Zn7 Mn6」という物質に着目し、交流磁化率、中性子小角散乱測定、およびローレンツ透過型電子顕微鏡観察によってその磁気構造を詳しく調べた。その結果、これまでスキルミオンは安定に存在できないと考えられてきた温度領域に三次元的に乱れたスキルミオンが安定して存在することを発見した。

同研究成果は、米国のオンライン科学雑誌「Science Advances」(日本時間9月15日付)に掲載された。