2018年10月10日 |
NIMS・京大など「Pd-MOF」水素貯蔵特性 解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:物質・材料研究機構 |
物質・材料研究機構(NIMS)は9日、九州大学、京都大学と共同で、パラジウム(Pd)と金属有機構造体(MOF)のハイブリッド材料が、Pd単体に比べて約2倍の優れた水素貯蔵特性を持つのは、PdからMOFへ電子約0.4個分の電荷が移動したことに伴う、ごくわずかな電子状態の変化によることを明らかにしたと発表した。 材料の電子状態と水素貯蔵特性との定量的な関係が明らかになったことで、水素吸蔵特性や水素に関わる触媒機能に優れた新たなハイブリッド材料開発の設計に役立つことが期待される。 次世代エネルギーの水素の普及に向けて、効率的な水素の貯蔵方法が求められている。以前からPdなど遷移金属が優れた水素貯蔵特性を持つことは知られていた。近年、遷移金属のナノ粒子とMOFを組み合わせることで、遷移金属単体に比べて、水素吸蔵特性が格段に向上することが報告されている。だが界面における電荷の移動についてはどの程度の電荷移動かなど、定量的な機構の解明はされていなかった。 遷移金属ナノ粒子およびMOFからなるハイブリッド材料は、水素吸蔵だけでなく高効率な水素化反応触媒としても期待されている。今後、電子状態の測定、解析法を用いることで、水素吸蔵特性や触媒性能を格段に向上させた新たなハイブリッド材料の開発が促進されることが期待される。 同研究は、NIMS 先端材料解析研究拠点 シンクロトロンX線グループの坂田修身グループリーダー、九州大学 稲盛フロンティア研究センター 古山 通久教授(現NIMSエネルギー・環境材料研究拠点ユニット長)、京都大学 大学院理学研究科 北川 宏教授らからなる研究チームによって行われた。文科省のナノテクノロジープラットフォーム事業およびJST戦略的創造研究推進事業(ACCEL)の支援を受けて行った。 同研究成果は、Communications Chemistry誌(英国時間10月9日)に掲載された。 |