2019年08月23日
JST、熟練研究者の「勘と経験」を簡単に再現
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)の星野学氏(さきがけ専任研究者)、東京大学の雨宮慶幸特任教授(高輝度光科学センター)らの研究チームは23日、ふつうなら数時間から数日かかる単結晶構造解析結果が、数分で事前評価できる技術を開発したと発表した。JST戦略的創造研究推進事業の一環。

単結晶構造解析は、単結晶試料にX線を照射して数千から数万個のデータを計測し、それらをコンピューターで処理しながら行う。そのため、時間をかけてデータを計測、解析してからでないと、選別した試料が研究の目的に相応しいのか、精度の良い解析結果が得られたのかを確認することができない。

現状では、試料の選別やデータ計測の条件設定は、数分で行う予備計測の結果に基づいて、熟練した研究者が「勘と経験」で行っている。

本研究グループは、熟練の研究者による「勘と経験」を統計解析に置き換える技術を開発し、経験が少ない研究者でも単結晶構造解析前に結晶内の分子を区別でき、また、精度の良い解析結果を得るために必要な計測条件を決定することを可能にした。

この研究の成果は、単結晶構造解析を用いた分子構造や物質構造の評価を高効率化、高精度化させることにつながる。また、単結晶構造解析に必要な計測実験を人に代わってコンピューターが判断し実行する技術開発への応用も期待される。


本研究成果は、8月22日(英国夏時間)に英国科学誌「Scientific Reports」のオンライン版で公開された。