2019年09月11日 |
東北大、半導体原子シートの新たな合成機構を解明 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学 大学院工学研究科の加藤俊顕准教授(電子工学専攻)、金子俊郎教授らは、原子オーダーの厚みを持つ半導体原子シートである遷移金属ダイカルコゲナイド(Transition Metal Dichalcogenides:TMD)に関する新たな合成機構の解明に成功したと10日発表した。JST戦略的創造研究推進事業の成果。 特殊環境下で成長するTMDは、成長過程の様子を直接観測することが困難なため、成長初期過程が未解明であり、高品質なTMD合成に向け詳細な合成機構の解明が望まれていた。 研究グループは、腐食性ガスが存在する約800℃の高温特殊雰囲気下でTMDが成長する様子をリアルタイムで光学像として観測できる‘その場観察合成手法’を開発した。さらに結晶成長時の前駆体拡散を制御する機構をあらかじめ合成基板上に作り込み、成長前駆体が従来の半導体材料に比べて約100倍以上の距離を拡散することを明らかにした。また液滴状態の前駆体の関与によって核発生が生じることも解明した。さらにこの手法を使って実用スケールの基板上に3万5千個以上の単層単結晶原子シートを大規模集積化合成することにも成功した。 本研究成果を活用することで、原子オーダーの究極の薄さを持つ半導体原子シートの大規模集積化合成が可能となり、次世代フレキシブルエレクトロニクス分野での実用化が期待される。 本研究成果は、9月10日(英国夏時間)に英国科学誌「Scientific Reports」のオンライン版で公開された。 |