2019年09月13日

理研・奈良先端大、アフリカ有害植物の全ゲノム解読

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理化学研究所 環境資源科学研究センターの白須賢グループディレクター、奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域研究室の吉田聡子特任准教授らの国際共同研究グループは13日、アフリカを襲う病害寄生雑草「ストライガ（Striga）」の全ゲノム解読に成功したと発表した。 「ストライガ」は主要な穀物に寄生し、収穫量を大幅に減らす有害植物であり、特にアフリカで深刻な被害をもたらしている。この問題を根本的に解決するには「ストライガ」の寄生メカニズムを理解する必要があり、全ゲノム情報は不可欠だった。 今回の研究成果は、「ストライガ」の進化および寄生メカニズムの理解、ストライガ撲滅に向けた除去剤開発などに貢献すると期待できる。 国際共同研究グループは、まず1950年代に米国に侵入した「ストライガ」の系統からゲノムDNAを抽出し、全ゲノムシークエンス解析（生物のゲノム情報を解読し、配列の違いや変化を同定すること）、トランスクリプトーム（mRNAを対象）解析などを行った結果、タンパク質をコードする遺伝子34,577個を同定した。 また、適応進化の過程で「ストライガ」は全ゲノムの2倍化を2回起こすことで寄生に必要な遺伝子を獲得したこと、植物ホルモンの一種であるストリゴラトン受容体ファミリーが著しく増えたことでさまざまな宿主を獲得したことが分かった。 さらに、ストライガゲノムに宿主から「遺伝子の水平伝播」（親子関係のない遺伝子の取り込み）が起きた証拠も見つけた。 本研究は、米国の科学雑誌「Current Biology」の掲載に先立ち、オンライン版（9月12日付：日本時間13日）に掲載される。