2019年09月17日
東北大、「リンパ節転移」に効果的治療法を開発
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東北大学 大学院の小玉哲也教授(医工学研究科)は17日、近畿大学の加藤茂樹助教(医学部)らと共同で、初期乳がんリンパ節転移を効率的に治療する新しい治療法を開発したと発表した。研究は文部科学省科学研究費補助金の支援を得て行った。

これには超音波でナノ・マイクロバブルを破壊し、生じる機械的な作用で細胞膜の透過性を一時的に亢進させ、抗がん剤などの外来分子を細胞内部に導入するソノポレーションを使用する。

小玉教授らは、ヒトのリンパ節と同等の大きさを有するリンパ節腫脹マウスを使用し、リンパ節の辺縁洞(リンパ節の辺縁にある空隙)に悪性度の高い乳がん細胞が増殖する初期乳がんリンパ節転移モデルを開発した。次に、このモデルで抗がん剤とソノポレーションを併用し、がん細胞を効率的に縮小させることに成功した。転移リンパ節辺縁洞の腫瘍組織に抗がん剤が効率的に導入され、強力な抗腫瘍効果を得ることができた。

リンパ洞には血流がないため, 従来の血行性の抗がん剤の投与(全身化学療法)ではリンパ節転移に対する効果は限定的と考えられる。本治療法は、全身化学療法に比べはるかに少ない量の抗がん剤で高い抗腫瘍効果をもたらすことが可能となる。今後は従来の全身化学療法で問題となる後遺症や合併症、苦痛などの副作用が低減されることが期待される。

本研究成果は、2019年9月13日、国際科学誌Scientific Reports誌(電子版)に掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20190917_03web_lymphatic.pdf