2019年09月24日
早大・北大など、水素、炭素などからスピン流生成機構
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早稲田大学の中惇講師(理学)は24日、北海道大学、明治大学、東北大学、東京大学、理化学研究所と共同で、これまでプラチナ(Pt)などの希少な重金属を用いて生成されてきたスピン流を、水素や炭素、酸素などのありふれた元素からなる有機化合物を用いて高い効率で生み出す新しい機構を理論的に発見したと発表した。
これはスピントロニクス材料研究の裾野を大きく広げ、電子機器への応用を進める画期的な成果となる。

電子は電荷を持つとともに小さな磁石としての性質(スピン)を有している。
現代社会を支える電子機器のほとんどは、電荷の流れである電流を用いて動作しているが、もしこれをスピンの流れ(スピン流)に置き換えることができれば、発熱によるエネルギー損失のない究極の省エネルギー機器が実現できる。

今回研究では、有機化合物の分子の配向パターンに注目し、新しい機構を発見した。理論計算から、この機構によるスピン流への変換効率は、Ptを用いた従来の生成機構と匹敵することが明らかになっている。今後、本研究で構築した理論をさらに多様な物質へと応用することで、高効率なスピン流生成を可能とする物質を理論的に見出し、理論の実証をめざす。


本研究成果は「Nature Communications」に9月20日(現地時間)に掲載された。