2019年10月10日
東北大、古い薬に新しい肺動脈性肺高血圧症の治療効果
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

東北大学大学院 医学系研究科の下宏明教授(循環器内科学)教授らの研究グループは10日、国の指定難病である肺動脈性肺高血圧症の新規治療薬を探索するため、同大学化合物ライブラリー(5,562種類)の網羅的探索を行い、催吐剤の主成分であるエメチンが肺動脈性肺高血圧症に対して治療効果を示すことを世界に先駆けて発見したと発表した。

肺動脈性肺高血圧症の病因として、肺動脈の細胞(血管平滑筋細胞)が癌細胞のように増殖してしまうことが知られているが、エメチンは肺動脈性肺高血圧症患者由来の細胞の増殖を抑制した。さらに、エメチンが炎症抑制作用や酸化ストレス抑制作用を持ち、肺高血圧モデル動物において顕著な治療効果を示すことも確認した。

本研究により、根本的な治療薬のない肺動脈性肺高血圧症に対する臨床応用が期待される。

本研究成果は、米国心臓協会(AHA)の学会誌、Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology 誌(電子版)に9月20日(日本時間)掲載された。