2019年10月24日 |
理研、ペプチドによる色素体改変に成功 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所 バイオ高分子研究チームの沼田圭司チームリーダーらは23日、2種類の機能性ペプチドを組み合わせることで、DNAを植物細胞の多様な色素体に導入できることを明らかにしたと発表した。 この研究成果は、色素体を利用した物質生産や、色素体に関連する遺伝子解析などを迅速化する技術として期待できるとしている。 従来、色素体への遺伝子やタンパク質の導入は、金粒子などに目的の分子を付着させ、高い圧力により細胞内部に打ち込むことで偶発的に起こさせるものだった。そのため、色素体へのDNA導入効率に改善の余地があった。 今回、研究チームは、細胞膜透過性ペプチドに加え、ポリカチオン性ペプチドと葉緑体移行配列を融合した機能性ペプチドを組み合わせたクラスターを用いて、プラスミドDNAを植物細胞内部の色素体に導入した。その結果、色素体の葉緑体、クロモプラスト、アミロプラストに選択的に導入することに成功した。また、レポーター遺伝子から目的のタンパク質が生産されていることも確認した。 こうした遺伝子導入技術は、植物細胞の色素体を迅速に改変し、効率的な物質生産や、未知の遺伝子機能の基礎研究などに役立つと期待できる。 同研究成果は、ドイツの科学雑誌「Advanced Science」のオンライン版(10月23日付)に掲載される。 |