2019年10月30日 |
京大発の新規薬剤「KUS 121」心筋梗塞に効果解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:京都大学 |
京都大学は30日、医学研究科の木村剛教授、生命科学研究科の垣塚彰教授らの研究グループが、マウス心筋梗塞モデルを用いて、同大学で開発した薬剤「KUS 121」の投与実験を行った結果、梗塞サイズが減少し、心機能の改善が認められることを解明したと発表した。 また、心臓組織でのATP(アデノシン三リン酸)が速やかに回復することやERストレス(小胞体ストレス)が低下することも分かった。さらに、よりヒトに近い、ブタ心筋梗塞モデルに対して「KUS121」を冠動脈内に投与したところ、用量依存的に梗塞サイズが減少した。 急性心筋梗塞の治療法はカテーテルによる治療のみだが、それでも完全に心筋梗塞を無くすことはできない。また効果的な治療薬もこれまでになかった。 VCP(valosin-containing protein:バロシン含有タンパク質)は、ATPase(ATPを加水分解する酵素)活性を有し、細胞内の異常タンパク質の処理などを担うタンパク質で、「KUS121」は、このVCPのATPase活性のみを低下させることを目的として本学で開発された。 今後、研究グループは同薬剤を新規の急性心筋梗塞治療薬として、臨床応用へ向けた開発を行う予定だ。 本研究成果は、10月29日に、国際学術誌「JACC: Basic to Translational Science」のオンライン版に掲載された。 ニュースリリース参照 http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2019/191029_1.html |