2019年11月01日
東洋紡、サウジで濃縮海水利用膜技術 実用化へ
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東洋紡

東洋紡は31日、海水淡水化プラントから排出される濃縮海水を効率的に利用する新しい膜技術の実用化に向け、先にサウジアラビアの海水淡水化公団(SWCC)と、同社の連結子会社、アラビアンジャパニーズメンブレンカンパニー(AJMC)とともに共同実証実験の実施に関する覚書を締結したと発表した。

雨水や地下水に乏しい中東地域では、海水から飲料水を作り出す海水淡水化プラントが多数稼働している。中でもサウジアラビアでは、厳しい気候や経済成長を背景にプラントの需要が旺盛だ。

東洋紡は、1980年代から海水淡水化プラント用として中空糸型逆浸透膜(RO 膜)を事業化してきた。
現在、一日あたり約160万トンと、640万人分のRO膜を各国で生産、供給している。

今回、実用化を目指すのは、「ブライン(塩水)コンセントレーション(濃縮・BC膜)」と呼ばれる、高濃度の海水を処理する新しい膜技術。

同社の中空糸型RO膜を活用して海水淡水化プラントから排出される濃縮海水を、希釈された海水と高濃度な濃縮海水とに分離し、希釈された海水は、海水淡水化プラントで再利用する。もう一方の濃縮海水は、蒸発・結晶化工程を通じて、効率的な有価物の回収を可能にするという技術。同社はBC膜技術の実用化により、濃縮海水を再利用する無排水化の実現に向けた取り組みを支援していく方針だ。


ニュースリリース参照
https://www.toyobo.co.jp/system/files/News_Release/201910/press_20191031_1_.pdf