2019年11月05日
東大・名大 遺伝子発現抑制にマイクロRNAの役割解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:名古屋大学

東京大学大学院の浅井潔教授(新領域創成科学)と、名古屋大学大学院の阿部洋教授(物質理学専攻化学系)の研究グループは2日、遺伝子発現を制御するマイクロRNAによるサイレンシング効率を機械学習で解明したと発表した。

マイクロRNAによる遺伝子抑制効率を高精度に推定する手法を構築し、抑制効率を決定する分子メカニズムを明らかにした。

塩基対合の熱力学的性質を最近接 塩基対法を用いて表し、機械学習によってマイクロRNAによる遺伝子抑制効率を推定した。

ヒトでは2000種類以上のマイクロRNAが見出され、それぞれ異なる塩基配列をもっている。個々のマイクロRNAは相補的な塩基配列をもつ多数のメッセンジャーRNAの翻訳を一斉に抑制(サイレンシング)するが、その抑制の程度はさまざまでその違いを決める要因は不明だった。

今回研究グループは、RNAの一次構造だけでなく二次構造も考慮した塩基対合における熱力学的パラメータを用いた機械学習により、新しい定量的予測モデルを構築した。これにより、遺伝子抑制効率を決定する分子メカニズムの推定が可能となった。

さらに、疾患におけるマイクロRNAの役割を解明することで、核酸医薬品の開発にも貢献できると考えられる。