2019年11月11日
東大、光学活性アミンの連続フロー合成法を新開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京大学

東京大学大学院 理学研究科の小林修教授(化学専攻)は11日、光学活性アミンの連続フロー合成法を開発したと発表した。キラルアミンは小分子医薬の約4割に含まれる重要な化合物群。今回これらを不斉水素化により効率的に合成できる不均一系イリジウム触媒を新たに開発した。

同触媒は連続フロー法に適用可能で、50時間以上の連続運転を達成した。バッチ法に比べてより低い水素圧化で反応を行うことができ、更に不斉源の回収・再使用も可能だった。

これにより、排尿障害の治療薬として用いられている「ハルナール」の医薬原体である、タムスロシンの鍵中間体の連続合成を達成した。

キラリティーを持つアミン類は小分子医薬品の構造中に最も頻繁に現れる重要な化合物群。触媒的不斉水素化による合成が、廃棄物を出さない理想的な合成法と考えられるが、高圧水素を必要とするなどの問題点から、従来、これを用いた工業的製法はほとんど確立されていなかった。

これらの成果は、高効率的なファインケミカルズの連続合成法に新たな手法を提供できると期待できる。

同研究の内容は、イギリスの化学雑誌「Nature Catalysis」のオンライン速報版で日本時間11月11日午前0時に公開される。