2019年11月18日 |
東北大、ダイヤモンドライクカーボンの摩耗現象解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学 金属材料研究所の久保百司教授(計算材料科学)らの研究グループは18日、東北大学金属材料研究所内のスーパーコンピュータ「MASAMUNE-IMR」を活用して、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)の摩耗を誘発する原因となる、トライボエミッション現象のメカニズムを世界で初めて明らかにしたと発表した。 さらにDLCの成分や周囲の環境を制御することで、摩耗を減らすことが可能であることを示し、高耐久性ダイヤモンドライクカーボンの設計指針を明らかにした。これは機械システムの長寿命化に加え、故障・事故の防止に貢献する成果となる。 この成果は、令和元年11月15日に「Science Advances」に掲載された。 ダイヤモンドライクカーボン (diamond‐like carbon、DLC) は、主として炭化水素、あるいは炭素の同素体からなる非晶質(アモルファス)の硬質膜のことで、硬質炭素膜とほぼ同義。 DLCはダイヤモンドに似た超低摩擦(物質同士がこすれあう時に極めて抵抗が小さい)材料で、宇宙ステーションや航空機エンジン等の機械システムへの応用が期待されている。しかしDLCの摩耗は、材料の寿命低下だけでなく、機械の故障を引き起こす原因となる。 久保教授らは今回、宇宙ステーションや航空機エンジンなどの機械システムへの応用が期待されるDLCの摩耗メカニズムを明らかにした。 同成果は、1秒間に3000兆回の高速計算が可能な同大学のスパコン「MASAMUNE-IMR」を活用して得られた。この結果、成分や周囲環境を制御することで「摩耗を減らす」ことが可能となり、高耐久性DLC設計指針が示された。機械システムの長寿命化に加え、故障・事故の防止に貢献する成果となる。 |