2019年11月19日 |
理研、高速分子シミュレーション計算機 開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所(理研)は18日、生命機能科学研究センター 計算分子設計研究チームの泰地真弘人チームリーダーらが分子動力学(MD)シミュレーション専用計算機「MDGRAPE-4A」の開発に成功したと発表した。 同研究成果は、インシリコ創薬(創薬候補物質の探索をコンピュータの中で行う)の可能性を大きく広げるものと期待できる。 MDシミュレーションとは、水溶液中で変化し続けるタンパク質構造を解析するために、タンパク質を構成する原子や周囲の水分子に働く力を計算し、コンピュータ内でタンパク質を「動かす」手法のこと。 大きなタンパク質の解析には、汎用スーパーコンピュータでも膨大な時間がかかるため、分子シミュレーションを高速で行う専用スパコンの開発が待たれていた。 今回研究チームは、自ら設計・開発した専用大規模集積回路(LSI)を512個搭載し、システム全体として約1.3ペタフロップス(1秒間に1,300兆回)の計算能力を持つ「MDGRAPE-4A」を開発した。 この計算機は、タンパク質と水分子からなる10万原子系のシミュレーションを、1日の計算で最高1.1マイクロ秒(1マイクロ秒は100万分の1秒)進める性能を持つ。これにより、サブミリ秒(~100マイクロ秒)のタイムスケールで起きる水溶液中でのタンパク質と薬剤の分子間相互作用の解析が、現実的な時間で可能となる。 本開発は先に東京で開催された「情報計算化学生物学会2019年大会」で報告された。また、完成品の一部を米国デンバーで開催される国際会議「Supercomputing SC19」(11月18日~21日)で展示し、システム全体は11月23日に理研大阪地区で一般公開する。 |