2019年11月19日 |
東北大、新型鉄系超伝導体の原子層シート化に成功 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学 大学院理学研究科の中山耕輔助教らの研究グループは19日、セレン化鉄と良く似た超伝導特性を持つ鉄系超伝導体「硫化鉄(FeS)」に着目し、その超薄膜を作製する手法を開発したと発表した。極限まで薄くする手法を開発した。その結果、バルク結晶とは異なり、超薄膜化した硫化鉄とセレン化鉄は互いに全く異なる超伝導特性を示すことを発見した。 両者の電子構造の分析・比較を行うことで、高温超伝導の実現に必要な条件を絞り込むことに成功した。 近年、層状物質を原子数個分の厚さまで薄くした超薄膜において、バルク結晶を上回る優れた性質が次々と明らかになっている。その代表例として、鉄系超伝導体の一種である「セレン化鉄(FeSe)」の超薄膜における高温超伝導の発見が注目されているが、薄膜化によって高温超伝導が起きる仕組みはまだ分かっていない。 今回の発見は、高温超伝導機構の最終解明と、より高い温度で超伝導になる物質の設計に重要な指針を与えるものとなる。また、同研究で開発された薄膜作製技術を応用することで、次世代ナノ材料探索が進展することが期待される。 本研究成果は、米国科学誌Proceedings of the National Academy of Sciences of USA(米国科学アカデミー紀要)のオンライン速報版11月19日号で公開された。 |