2019年12月27日

信越化学、5G時代へ「石英クロス」「低誘電樹脂」開発

【カテゴリー】：新製品/新技術 【関連企業・団体】：信越化学工業

信越化学工業は26日、5G時代(第5世代移動通信システム)に対応して、高周波帯域で使用される電子デバイスや回路基板、アンテナ、レーダードーム向けに「石英クロス」と「熱硬化性低誘電樹脂」を開発したと発表した。従来品の放熱シートとともに品揃えが拡充した。 開発にあたり、NOVOSET.LLC(本社:米国ニュージャージー州)と、同社が開発した熱硬化性低誘電樹脂の製造、販売に関するライセンス契約を締結した。 ◆石英クロス(商品名:SQXシリーズ) 誘電率3.7以下、誘電正接 0.001以下、線膨張係数 1ppm/℃以下など、伝送損失に関わる特性が優れている。5Gのキーワードである「超高速通信」を支える配線基板のコア材として最適。アンテナやレーダードームの繊維強化プラスチック部材としてもその特性を発揮する。 ◆熱硬化性の低誘電樹脂(商品名:SLKシリーズ) フッ素樹脂に迫る低誘電特性を持つ高強度かつ低弾性樹脂で、高周波数帯(10～80GHz)で誘電率2.5以下、誘電正接 0.0025以下と熱硬化性樹脂としては最低レベルを達成している。低吸湿性で、低粗度の銅箔に対しても高い接着力を有するため、FCCL(フレキブル銅張積層板)や接着剤などへの使用にも適している。 ◆放熱シート(商品名:SAHFシリーズ) 5Gで高まる放熱特性要求を実現するために、放熱材を組み合わせた粘着性のあるシートや、熱で溶融、硬化し接着するシートなどを新たに開発し上市の予定。熱伝導性が5W/mKから100W/mKの製品を揃えることで、高信頼性が求められるパワー半導体や自動車分野へも展開し需要拡大を狙う方針だ。 ＜ニュースリリース参照＞ https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1577429227.docx