2020年01月27日

北大、光共振ミラーにより化学反応を制御 新技術開発

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北海道大学 電子科学研究所の平井健二准教授(JSTさきがけ研究者)、雲林院 宏教授らの研究グループは27日、光共振器の中で分子の振動状態を変えることで、化学反応をコントロールする方法を開発したと発表した。 2枚の反射ミラーが向かい合った光共振器の中では、ミラー間の距離に応じて特定の波長の光が安定に存在する。この光のエネルギーと分子振動のエネルギーが等しくなると共振器と分子振動が光を介して強く相互作用する。 この時、共振器中の場と分子振動が混成した状態「振動ポラリトン」を形成する。 この量子的現象は以前から知られていたが分子化学との接点がなく、化学反応への影響は未解明だった。 今回研究で、光共振器の中で有機反応の反応速度が変化することを実証した。光共振器の中ではカルボニル基の伸縮振動と共振器が強く相互作用し、振動ポラリトンのエネルギー準位の分裂「ラビ分裂」を観測した。 この状態では、カルボニル基の反応性が低下しており反応速度が大きく減速することが分かった。 この方法では、ミラー間の距離を調整するだけで、狙った反応部位が反応できなくなるため、保護剤を必要としない選択的化学反応に応用できる可能性がある。今後、新たな化学反応の操作方法として、機能性材料や医薬品などの合成プロセスへの展開が期待される。 研究成果はドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition」1月22日付でオンライン掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/2020/01/post-620.html