2020年01月29日

東レ、世界初 正面透過・斜め反射フィルム創出

【カテゴリー】：新製品/新技術 【関連企業・団体】：東レ

東レは29日、正面からの光はガラスのように透過し、斜めからの光は鏡のように反射する世界初の光学機能を備えたフィルム「PICASUS VT」を創出したと発表した。 これにより、AR（拡張現実）やM（複合現実）用途でのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)や、HUD（ヘッドアップディスプレイ）、覗き見防止フィルム、ディスプレイ用フィルムなどへの展開が期待できる。今後、3年後の実用化を目指して研究開発を進める。 一般的な光学材料としては、透明ガラスや透明プラスチックのように正面～斜めいずれの方向から入射した光もほぼ透過する素材や、金属膜のように正面～斜めいずれの方向からも入射した光を反射する素材がある。だが、正面からの光は高い透過率で透過し、斜めからの光は高反射するといった、光の指向性をコントロールできる光学素材はなかった。 「PICASUS VT」は、独自のナノ積層技術と、新規の光学設計に基づく樹脂屈折率の高精度制御技術によって実現した。正面からの光を透過し、斜めからの光を反射するという全く新しい機能を発現させた。 従来のナノ積層フィルム「PICASUS」は、ナノメートルの厚みの層を数百～千層重ねて特定の波長の光を反射させる機能を持たせたが、「PICASUS VT」は、さらに光の反射・透過の指向性まで制御できるようにした。 従来の透明ガラスやプラスチックに比べて風景の視認性だけでなく、投影情報もはっきり表示することができる。また、PCやスマートフォン向けの覗き見防止フィルムや次世代ディスプレイ用光学部材に用いた場合には、透過性の向上や、集光やのぞき見防止に対するマルチアングル性の発現など、ディスプレイの機能向上に貢献することができる。 ニュースリリース https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1580267795.pdf