2020年01月31日 |
三洋化成、心疾患の迅速検査試薬 共同開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:三洋化成、富士フイルム |
三洋化成工業と富士フイルム和光純薬の両社は31日、迅速測定が可能な全自動蛍光免疫測定装置「ミュータスワコー i50」(富士フイルム和光純薬社製)専用の、心疾患マーカー、「心筋トロポニンT」を測定する検査試薬を共同開発したと発表した。三洋化成が製造し、富士フイルム和光純薬から販売を開始した。 心疾患は心筋梗塞など心臓に関連する病気の総称で、2018年の死亡原因の第2位(15.3%)と高く、高齢化にともない増加傾向にある。心疾患の病態把握には、重症度に応じて血中に増加する物質「NT-proBNP」(注:1)や「心筋トロポニンT」などをマーカーとして測定する方法がある。 富士フイルム和光純薬の「ミュータスワコー i50」は、LBA-EATA法(注:2)を用いた蛍光免疫測定装置で、試薬・検体の混合、反応、分離、検出など、免疫測定の一連の操作をマイクロチップ上で全自動で行える。微量検体での迅速測定と、装置の小型化を実現した。 測定に要する時間が1検体あたり7分と短いため、緊急検査にも適している。これまでに肝細胞癌・敗血症マーカーの検査試薬を上市してきたが、今回、さらに心不全および心筋梗塞マーカーの検査試薬をラインアップしたことで心疾患の迅速測定と早期の治療に貢献する。 <用語の解説> ◆(注:1) NT-proBNP(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント) :BNPというホルモンの副産物で、心筋細胞の負荷増加により血中に分泌されるため、心不全の診断に利用される。同じく心不全マーカーであるBNPの測定が血漿を検体とするのに対し、NT-proBNPは血漿に加えて血清を検体とするため、医療現場ごとに適した検体を選択できる。 ◆(注:2) LBA-EATA(Liquid-phase Binding Assay - Electrokinetic Analyte transport Assay)法。マイクロチップ内の液相中で、免疫反応により形成した抗原・抗体などからなる免疫複合体を濃縮する手法。ミュータスワコーシリーズはLBA-EATA 法を用いた電気泳動法(タンパク質やDNA が電圧をかけたときに移動する現象を利用した解析方法)を原理としており、マイクロチップ内で測定できる。 ニュースリリース (三洋化成工業) www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1580437354.pdf (富士フィルム) https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1580437460.pdf |