2020年02月05日
理研「方向感覚と神経回路のダイナミクス」発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は4日、ショウジョウバエを用いて、方向感覚に関わる情報が複数の脳部位にまたがる神経回路のダイナミクスに符号化されていることを発見したと発表した。今後、空間知覚や探索行動を担う神経メカニズムの理解につながると期待される。

昆虫を含む多くの動物の脳には、自分が今どの方向を向いているかを知覚することで、空間を効率的に移動する。この能力は「頭方位細胞」という神経細胞により担われると考えられている。

今回、研究チームは、バーチャルリアリティ(あたかも現実のように感じられる環境を作る)空間を飛行するキイロショウジョウバエ(ハエ)の脳活動を記録することで、頭方位の符号化に関わる神経回路を探索した。その結果、これまでに知られていなかった頭方位細胞の集団を発見した。

今回見つかった細胞集団と既知の頭方位細胞集団は、隣接する脳部位に投射し同期して活動すること、さらに両細胞集団は頭方位に加え、ハエ自身の旋回運動も符号化していることを見い出した。これらの結果は、方向感覚に関わる情報が、従来考えられていたよりも広い範囲にまたがる神経回路が示す特定のダイナミクスに符号化されていることを示している。

本研究は、科学雑誌「Neuron」(4月8日号)の掲載に先立ち、オンライン版(日本時間2月5日)に掲載される。