2020年03月10日 |
東大・産総研 鉄系超伝導体に新たな量子液晶発見 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:東京大学 |
東京大学大学院の芝内孝禎教授(新領域創成科学研究科)、産総研の永崎洋首席研究員らの国際共同研究グループは10日、鉄系超伝導体において新たな量子液晶状態が実現できることを見出したと発表した。 「量子液晶」とは、電子の集団が量子効果によりある方向に揃おうとする状態のこと。これまでは、一般的な液晶と異なり、その方向が特定の結晶の向きに限られていた。 今回、鉄系超伝導体において、電子の集団がどの方向にも揃う新しいタイプの量子液晶状態が実現できることを見出した。この新しい量子液晶状態は、有機分子などの一般的な液晶に近く、電子の集団応答の方向を容易に制御することができる。 今回の結果は、これまで報告されていた量子液晶状態よりもさらに一般的な液晶に似た新しいタイプの量子液晶状態を実現することが可能であることを示した。このため今後は、物質中の波(量子流)の偏波などの量子技術の開拓へとつながることが期待される。 研究は科学研究費新学術領域研究「量子液晶の物性科学」、およびTIA連携プログラム探索推進事業「つくばー柏ー本郷/超伝導かけはしプロジェクト」の助成を受けて行われた。 米国科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)」に近く掲載される。 |