2020年03月11日 |
理研「ストレス耐性/親から子へ継承」仕組み発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所は11日、生命機能科学研究センターの共同研究チームが、親世代が獲得したストレス耐性能力が、エピジェネティック情報(注)の組織間伝達を介して次世代に継承されることを発見したと発表した。 本研究成果は、さまざまな環境に適応する能力を速やかに子孫にのこす生物の生存戦略の一つとして、重要な知見となることが期待できる。 今回、共同研究チームは、モデル生物である線虫を用いて、個体のストレス耐性制御において、各組織・臓器がどのように連携するのかについて解析した。 その結果、腸組織でのエピジェネティック変化が生殖腺におけるエピジェネティック変化を誘導し、この組織間コミュニケーションによって、個体のストレス耐性が上昇することを見いだした。さらに、この腸-生殖腺の組織間コミュニケーションを介して、ストレス耐性の上昇が子世代へ継承されることを明らかにした。 本研究は、科学雑誌「Cell Reports」(日本時間3月11日)にオンライン掲載される。 <用語の解説> ◆エピジェネティック情報 :DNAの塩基配列に依存しない遺伝子の調節機構をエピジェネティクスと呼ぶ。エピジェネティクスの分子基盤は、DNAのメチル化やヒストンのメチル化/アセチル化によりゲノムの特定領域に可逆的につけられた「目印」であり、このメチル化やアセチル化の情報をエピジェネティック情報と呼ぶ。 ニュースリリース https://www.riken.jp/press/2020/20200311_1/index.html |