2020年03月17日 |
早大、低温で化学反応が速く進む手法を世界初発見 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:早稲田大学 |
早稲田大学大学院 理工学術院の関根泰教授らの研究グループは、外部から固体触媒に電位を与えることで、低温で化学反応が速く進む手法を世界で初めて発見した。これまで化学反応は高温ほど速く進むというアレニウスの法則が一般的だったが、この法則を打ち破る新しい概念となる。 同研究成果は、3月13日(英国時間)にイギリス王立化学会のジャーナル「Chemical Communications」のオンライン版で公開された。 スウェーデンのスヴァンテ・アレニウスは、1884年に化学反応は高温になるほど速く進むことを明らかにし、アレニウスの法則として知られる原理となった。関根教授らの研究グループは、外部から固体触媒に電位を印加すると、この法則に反して低温ほど反応が速く進むことを発見、その原因を探ってきた。 化学品や水素運搬体として期待されるアンモニアを、窒素と水素から作る反応は、ハーバーボッシュ反応として知られ、大規模に工業化されているが、400度程度の高温と250気圧程度の高圧が必要だった。研究グループは、半導体性を有する固体触媒に外部から電位を与えることで、この反応が200度以下の低温でも速やかに進むことを見いだした。さらに、200度以下の領域では、温度を下げたほうが反応速度が速くなる現象を発見した。 一般的に、反応速度が低温で優勢になるのはアレニウスの法則に従い吸着現象のみだった。しかし反応速度と吸着の相関を検討したところ、触媒表面でイオンが動く際に、吸着が多くなる低温で反応速度が速くなるというメカニズムが明らかになった。これは化学反応速度がアレニウスの法則に従うという過去の常識を打ち破る新しい概念となる。 ニュースリリース https://www.jst.go.jp/pr/announce/20200313/index.html |