2020年03月17日 |
理研、世界初測定、ジルコニウム同位体の突然変形 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所 仁科加速器科学研究センターの上野秀樹室長らの国際共同研究グループは17日、中性子過剰なジルコニウム(Zr)同位体である99Zr(陽子数40、中性子数59)の励起状態の核磁気モーメント測定に世界で初めて成功したと発表した。 同研究成果は、中性子が過剰なエキゾチック核における原子核形状変化の解明に貢献するとともに、今後のエキゾチック核モデルの構築におけるマイルストーンとなることが期待できる。 今回、国際共同研究グループは、238Uビームの核分裂反応を用いて、核スピン整列した99Zrビームを生成した。 スピン整列した99Zrの励起状態から放出されるガンマ線を測定し、その励起状態の核磁気モーメントを測定したところ、その値は球形形状と仮定したときの値から大きくかけ離れていることが判明し、この励起状態は球形でなく「変形」状態であることが分かった。 これまで、Zr同位体では、偶数質量数の98Zr(中性子数58)と100Zr(中性子数60)の間で起こる基底状態の突然の形状変化が注目されてきた。 今回の実験結果から、奇数質量数のZr同位体でも、97Zr(中性子数57)と99Zrの間で励起状態の形状が突然変化していることが分かった。 本研究は、米国の科学雑誌「Physical Review Letters」(3月20日号)の掲載に先立ち、オンライン版(3月16日付)に掲載された。 |