2020年04月03日 |
理研、酵素の仕組みを再現した硝酸還元触媒 解明 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所 生体機能触媒研究チームの中村龍平チームリーダーらの研究グループは2日、化学合成した酸素を含むモリブデン硫化物の触媒に、天然の硝酸還元酵素と類似した反応活性サイトがあることを見いだしたと発表した。 同研究成果は、水質汚染物質として規制されている硝酸イオン(NO3)を無害化するための、新たな触媒開発につながると期待できる。 窒素肥料等の含まれる硝酸イオンは、水に溶けやすく、化学的に安定であるため、地下水や河川に蓄積し、飲料水を汚染したり、湖沼の富栄養化や赤潮を引き起こしやすい。研究グループは2017年、硝酸イオンを無害化するための触媒として、モリブデン硫化物が有望であることを見いだした。 今回、研究グループは、触媒作用の起源を明らかにするため、モリブデン硫化物の性質を電子スピン共鳴分光法などで評価した。その結果、酸素を含む5価のモリブデン(Mov=O、オキソモリブデン)が、反応を促進するための活性種であることを突き止め、さらにこの活性種が天然の硝酸還元酵素と類似した構造を持つことを明らかにした。 同研究成果は、酵素が持つ優れた特性を人工の触媒を用いて再現するための大きな一歩になると考えられる。 同研究は、科学雑誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版(4月1日付)に掲載され、Very Important Paper (VIP)に採択された。 ニュースリリース https://www.riken.jp/press/2020/20200402_2/index.html |