2020年04月08日
理研、器官サイズの左右差を抑制する仕組み解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
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 理化学研究所 生命機能科学研究センターの西村隆史チームリーダー(奈良先端科学技術大学客員准教授)らの研究チームは7日、キイロショウジョウバエを用いた実験で、栄養環境の変化に応じて血糖値を適切に調節する仕組みが、器官サイズのばらつきを抑制していることを突き止めたと発表した。

 今回、研究チームは、モデル生物としてキイロショウジョウバエを使い、食後高血糖・空腹時低血糖などの血糖恒常性の破綻を引き起こす遺伝的変異が「発育恒常性」の低下(ばらつき)を引き起こすことを明らかにした。
 
 さらに、さまざまな栄養ストレスを与えたところ、野生型のハエでは器官サイズのばらつきに大きな変化は見られなかったものの、遺伝的変異を持つと、発育恒常性の低下が認められた。これにより、血糖値を適切に調節する代謝恒常性と発育恒常性の間に直接的な因果関係が示された。

 この研究成果は、発育・成長過程で経験するさまざまな体内・体外の環境変化に応じて、生体の状態を一定に保ち、器官サイズを正確に制御する仕組みを明らかにしたもので、今後、器官サイズ制御だけでなく、健康評価の理解に貢献すると期待できる。

 同研究は、オンライン科学雑誌「Communications Biology」(4月7日付)に掲載された。


ニュースリリース
https://www.riken.jp/press/2020/20200407_3/index.html