2020年04月10日 |
九大、植物の葉内部のグルコシノレートを可視化 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:九州大学 |
九州大学大学院農学研究院の丸山明子准教授らのグループは8日、暗所におかれた植物でグルコシノレートが著しく減少することを視覚的に捉えることに成功したと発表した。また、このグルコシノレート量減少が加水分解酵素S-グルコシダーゼ(BGLU)30の働きによることを明らかにした。 アブラナ科植物が作るグルコシノレートは、硫黄を含む代謝物で、硫黄の貯蔵や病害虫に対する防御物質として働くとともに、発がん予防効果を示す。近年、生体分子の組織内分布を可視化する手法であるマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析イメージング(MALDI-MSI)が医療分野を中心として注目されているが、葉のような薄い組織を持つ植物では試料調製が困難なため、報告例も少なかった。 研究グループは表皮を剥離した葉を用いてMALDI-MSIを行うことにより、葉の内部にある複数種のグルコシノレートを可視化した。また暗所下ではグルコシノレートが減少し、その減少がBGLU30の働きによることを明らかにした。光条件の違いによるグルコシノレート量の調節機構に関する新しい発見となる。 植物の環境適応機構を理解するだけでなく、栄養価を高めたアブラナ科野菜の作物育種、栽培法を介しての農業の省力化や、人間の健康増進に寄与することが期待される。 本研究成果は、国際学術雑誌「Plant and Cell Physiology」(4月7日付)にオンライン掲載された。 ニュースリリース https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/440 |