2020年04月24日
富士フィルム、放射線放出の抗がん剤、第1相試験開始
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:富士フイルム

 富士フイルム富山化学は24日、薬剤から直接放射線を放出してがん組織を攻撃する抗がん剤「FF-21101」の臨床第1相試験を国内で開始したと発表した。

 同剤は、放射性同位元素のイットリウム(90Y) を結合させた抗体(Armed 抗体)を用いた抗がん剤で、富士フイルムがグループの技術を集めて創出した。抗原抗体反応により、抗原であるPカドヘリンを発現したがん組織に選択的に集積し、イットリウム(90Y)が放出する放射線でがん組織を直接攻撃することで、治療効果が期待されている。

 現在、米国では、富士フイルムが、進行性固形がん患者を対象に「FF-21101」の臨床試験を実施している。

 富士フイルム富山化学は今回、国内で標準治療後に再発又は遠隔転移をきたした固形がん患者を対象とした、「FF-21101」の臨床第1相試験を開始した。卵巣がんや胆道がん、頭頸部がんといった、進行性固形がんの患者に対して、安全性や忍容性、薬物動態、有効性を確認する。

 同社はほかにも神経内分泌腫瘍を対象とした「F-1515」(ルテチウム(177Lu)ドータオクトレオテート)や、難治性褐色細胞腫を対象とした「F-1614」(3-ヨードベンジルグアニジン(131I))など、放射性同位元素を用いた薬剤(放射性医薬品)の開発を積極的に進めている。


<用語の解説>
◆イットリウム(90Y) :治療に適した放射線(ベータ線)を放出する放射性同位元素。半減期 64時間。
◆Pカドヘリン :多くの固形がんの細胞表面に発現し、がんの増殖や転移などに関与することが知られているタンパク質。

ニュースリリース

抗がん剤「FF-21101」進行性固形がんを対象とする国内臨床第1相試験を開始
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1587694543.pdf

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https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1587694543.pdf