2020年04月27日
国際農研、マダガスカルでイネの増収を実証
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:農林水産省

 国際農研は、マダガスカル国立農村開発応用研究センターと共同で、移植苗のリン浸漬処理がイネの増収と冷害回避につながることを実証したと発表した。
 
 リン肥料と水田土壌を混合した泥状の液体に苗を浸してから移植するリン浸漬処理技術により、イネの収量と施肥効率を大幅に改善できることを確認した。さらに、イネの生育日数を短縮し生育後半の低温ストレス回避に有効であることをマダガスカルの農家圃場で明らかにした。
 
 リン浸漬処理を施すことで、従来の施肥法(表層施肥)に比べて、籾収量が9~35%増加した。
 マダガスカルをはじめとするサブサハラ アフリカ(サハラ砂漠より南の地域)では、リン供給力に乏しい貧栄養土壌や、生育期間中の不安定な生産環境(水不足、高温ストレス)により、イネの生産性が著しく制限されている。日本の稲作技術の導入で、これらの地域のイネの安定生産、食料安全保障への貢献が期待される。

 マダガスカルは、日本人の2倍以上のコメを消費するアフリカ随一の稲作国だが、イネの生産性が低く、主食であるコメの安定供給と、農村地域の貧困からの脱却を妨げている。イネの生産性を阻害する要因として 、農家が貧しく肥料の購入資金が得られことや、貧栄養土壌の分布が挙げられている。国際農研では、かつて日本で行われていた、揉付(もみつけ)などを参考に、少ない肥料で効率的にイネの生産性を上げる施肥技術の開発に取り組んでいる。

 同研究成果は、国際科学専門誌「Field Crops Research」電子版(日本時間4月24日)に掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20200424/pdf/20200424.pdf